面貸しネイリストの料金設定|自分のメニュー価格をどう決めるか

面貸しでは、お客様からいただく施術料金を自分で決めます。 サロンに雇われていれば価格はサロンが決めますが、面貸しは席を借りているだけなので、メニューも価格も自分の裁量です。

自由である反面、最初に決める価格が後々まで影響します。安く始めてしまうと、値上げは想像以上に難しくなります。

この記事では、席料から逆算して価格を決める手順と、決めた後に見直すときの考え方を整理します。なお金額の例は目安です。エリアや技術、メニュー構成によって適正な価格は変わります。

決める順序を間違えない

価格設定でよくある失敗は、近隣のサロンを見て「これくらいかな」と決めてしまうことです。

相場を見るのは必要ですが、最初に見るべきは自分のコストです。相場より安くても成立する人もいれば、相場どおりでは赤字になる人もいます。席料と稼働時間が違えば、必要な単価も変わるためです。

順序はこうなります。

  1. 席料と材料費を把握する
  2. 月に何時間稼働できるかを出す
  3. 1時間あたりに必要な売上を計算する
  4. メニューの所要時間から価格を割り出す
  5. エリア相場と照らして調整する

相場との比較は最後です。

1時間あたりに必要な売上を出す

計算に必要なのは3つだけです。

月にかかる固定費。 面貸しの席料が中心です。月額契約なら月額そのもの、時間貸しなら想定稼働時間分の料金です。ここに材料費、交通費、通信費など、事業に必要な費用を加えます。

確保したい手取り。 副業なら月3万円、本業なら月20万円など、目標額を先に決めます。

月に稼働できる時間。 施術できる時間だけを数えます。準備と片付けの時間は売上を生まないため、ここには含めません。

この3つから、必要な時間単価が出ます。

(固定費 + 目標手取り)÷ 稼働時間 = 1時間あたりに必要な売上

たとえば席料と材料費で月8万円、目標手取りが月12万円、稼働できるのが月80時間なら、(80,000+120,000)÷80 で1時間あたり2,500円が必要な計算になります。

さらに、この時間単価を100パーセント埋められることは現実にはありません。予約が入らない時間も出ます。稼働率を7割程度で見積もると、必要な時間単価は上がります。上の例なら1時間あたり3,500円前後が現実的な水準です。

数字を入れて試算する場合は収支シミュレーターが使えます。

メニューの価格を割り出す

必要な時間単価が出たら、メニューごとの所要時間をかけます。

たとえば必要な時間単価が3,500円なら、目安はこうなります。

  • ワンカラー(1時間半)→ 5,000円台
  • ワンカラー+アート(2時間)→ 7,000円台
  • 付け替えオフ込み(2時間半)→ 8,000円台

ここで注意したいのが、時間のかかるメニューほど値付けを間違えやすいことです。

凝ったアートは技術的な満足度が高い一方、施術時間が長くなります。時間単価で見ると、シンプルなメニューより割に合わなくなることがあります。所要時間を正直に測って、それに見合う価格をつけてください。

オフの扱いも同様です。他店で施術したジェルのオフは、状態によって時間が読めません。無料にすると時間だけ取られることになるため、有料にしておくほうが安全です。

エリア相場と照らし合わせる

計算で出た価格が、周辺の相場と大きく違う場合があります。

相場より高くなった場合。 席料が高い、稼働時間が短い、目標手取りが高い、のいずれかです。まず稼働時間を増やせないかを検討します。それが難しければ、席料の安いサロンに移るか、単価に見合う価値を出すかの選択になります。所要時間を短縮できれば、価格を変えずに時間単価を上げられます。

相場より安くなった場合。 計算上は成立していても、安すぎる価格は別の問題を生みます。価格が安いと、価格を理由に選ぶお客様が集まりやすくなります。この層は、より安い店が現れると移動します。また予約が埋まるほど、時間あたりの負担が増えて疲弊します。

相場から外れる場合は、理由を説明できるかで判断します。 「駅から近い」「深夜も対応できる」「特定の技術に強い」といった理由があれば、相場より高くても選ばれます。理由がないまま高いと、比較されたときに負けます。

エリアごとの面貸し料金の水準は相場の記事にまとめています。

決めた後に見直すこと

価格は一度決めたら終わりではありません。次のタイミングで見直します。

席料が変わったとき。 時間貸しから月額に切り替えた、別のサロンに移った、といった場合は前提が変わります。

所要時間が変わったとき。 慣れて速くなれば、同じ価格でも時間単価が上がります。逆にメニューが複雑になって時間が延びているなら、価格を見直す必要があります。

予約が常に埋まっているとき。 空きがない状態が続くなら、価格が需要に対して安い可能性があります。

材料費が上がったとき。 仕入れ価格の変動は、放置すると手取りを削ります。

値上げの伝え方

既存のお客様がいる状態での値上げは、多くの人が最も避けたいと感じる場面です。

現実的な進め方は次の通りです。

事前に伝える。 当日いきなり新価格を提示するのは避けます。1か月から2か月前に、次回以降の価格が変わることを伝えます。

理由を簡潔に添える。 材料費の上昇、施術内容の見直しなど、事実を短く伝えます。長い説明はかえって不安にさせます。

謝らない。 価格改定は事業として当然のことです。謝罪から入ると、値上げが「悪いこと」という前提になってしまいます。

メニューの見直しと同時に行う。 単純な値上げより、メニュー構成を整理して新しい価格表にするほうが受け入れられやすくなります。

一部のお客様が離れることは織り込む。 全員が残ることを前提にすると、値上げの判断ができなくなります。単価が上がれば、来店数が減っても売上が維持できる計算になることもあります。

割引とキャンペーンの扱い

新規のお客様を集めたいとき、割引は手軽な手段に見えます。ただし面貸しでは、席料が固定でかかるため、値引き分がそのまま手取りから引かれます。

割引を使う場合は、次を決めてから行います。

  • 期間を区切る(いつまでの施術が対象か)
  • 対象を限定する(初回のみ、特定のメニューのみ)
  • 通常価格を明示する(割引後の価格だけを見せない)

恒常的な割引は、実質的な値下げです。 「いつでも初回オフ無料」のような形は、通常価格が形骸化します。割引で来たお客様が通常価格でリピートするかを、事前に考えておいてください。

紹介割は比較的相性が良い方法です。既存のお客様経由で来た方は定着しやすく、集客の手間も減ります。集客全般の考え方は集客の記事で解説しています。

よくある質問

面貸しの施術料金はどうやって決めればいいですか?

席料や材料費などの固定費と、確保したい手取り、月に稼働できる時間から、1時間あたりに必要な売上を計算します。そこにメニューの所要時間をかけると価格の目安が出ます。周辺の相場と比べるのは、この計算の後にしてください。

相場より安くしたほうが集まりますか?

安さで選ばれた場合、より安い店が現れると移動しやすい傾向があります。また面貸しは席料が固定でかかるため、単価が低いと稼働を増やしても手取りが伸びにくくなります。価格以外の理由で選ばれる形を先に考えるほうが、長く続けやすくなります。

オフは無料にしたほうがいいですか?

他店で施術したジェルのオフは、状態によって所要時間が読めません。無料にすると時間だけ取られることになるため、有料に設定しておくほうが安全です。自店でのリピート時のオフをどう扱うかは、別に決めておきます。

値上げはどう伝えればいいですか?

1か月から2か月前に、次回以降の価格が変わることを事前に伝えます。理由は材料費の上昇など事実を短く添える程度で十分です。メニュー構成の見直しと同時に行うと受け入れられやすくなります。

稼働率はどれくらいで見積もればいいですか?

借りた時間をすべて施術で埋められることは現実には少ないため、7割程度で見積もっておくと計画が崩れにくくなります。実際の稼働が安定してきたら、自分の数字に置き換えて再計算してください。


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