面貸しに保険は必要?施術トラブルの責任は誰が負うかと備え方

面貸しでは、施術中の事故や肌トラブルの責任は、原則として施術したネイリスト本人が負います。 サロンの店舗保険は、面貸しで入っているネイリストの施術までは通常カバーしません。備えとして、ネイリスト向けの賠償責任保険に加入し、サロンとの同意書で責任の区分を文字にしておくのが基本です。

「万が一のとき、誰が責任を取るのか」は、面貸しを始める前にいちばん曖昧にされがちで、いちばん揉めやすいところです。この記事では、起きうるトラブルを3つに分けて責任の所在を整理し、保険の入り方、同意書に書いておくこと、実際に起きたときの動き方までまとめます。

契約書の雛形を作るときに、保険加入を利用の条件にしました。借りる側を縛りたいからではなく、何かあったときにネイリストさん自身を守るものだからです。保険に入っていない状態でお客様の爪にトラブルが起きたら、一番苦しいのは本人です。

—— Reina(SHARENAIL 代表 / MiNTY NAIL オーナー)

面貸しで起きうるトラブル3種と、誰の責任になるか

面貸しで現実に起きるトラブルは、おおむね次の3種類に分かれます。

トラブルの種類責任を負うのは(一般的な整理)
施術によるお客様への損害皮膚のかぶれ・炎症、ケガ、爪の損傷、アレルギー反応施術したネイリスト
サロンの備品・設備の破損ライトの落下、集塵機の故障、椅子・机の汚損故意・過失ならネイリスト、老朽化・自然故障ならサロン
お客様の持ち物の損害服にジェルが付く、バッグを汚す、貴重品の紛失施術中に起きたことはネイリスト、店内で起きた管理上の問題はサロン

ポイントは、**「自分の施術から生じたことは自分の責任」**という軸です。雇用されているスタッフなら勤務先のサロンが責任を負いますが、面貸しは場所を借りて自分の商売をしている関係なので、施術の責任は借り手であるネイリスト本人にあります。

ただし、上の表は一般的な整理であって、実際には契約内容によって変わります。だからこそ、次に説明する保険と同意書の2つで備えておく必要があります。

ネイリスト向け賠償責任保険とは

賠償責任保険は、施術が原因でお客様にケガや損害を与えてしまったとき、治療費や損害賠償金を補償する保険です。 美容・ネイル業界向けの商品があり、フリーランスのネイリストが個人で加入できます。

補償される範囲(一般的な例)

  • 施術によるお客様の身体への損害(かぶれ・炎症・ケガの治療費、慰謝料など)
  • 施術中にお客様の持ち物を壊した・汚したときの損害
  • 商品によっては、借りている設備を壊したときの補償(借用物補償)が付けられるものもある

補償されないことが多いもの

  • ネイリスト自身のケガや病気
  • 故意による損害
  • 施術以外の原因で起きたお客様のトラブル
  • 商品によって除外される施術(まつ毛・エステなど、ネイル以外)

保険料の目安と加入の経路

保険料は商品と補償額によって異なりますが、ネイリスト個人向けの賠償責任保険では年間数千円から1万円台が一つの目安です。加入経路は大きく2つあります。

  1. 業界団体や協会を通じて加入する — 会員向けの団体保険として用意されている場合があり、個人で入るより保険料が抑えられることがあります。
  2. 保険会社や代理店で個人として加入する — 美容・リラクゼーション業向けのプランの中に、ネイル施術を対象にしたものがあります。

補償の範囲、ネイル施術が対象に含まれているか、年間の補償限度額は商品ごとに違います。契約前に、自分の施術メニュー(ジェル・スカルプ・フットなど)が補償対象に含まれているかを保険会社に確認してください。

保険料を「月に1,000円くらい」と聞くと高く感じる方もいるかもしれません。でも、お客様の爪に深刻なトラブルが起きて治療費が必要になったとき、それを全額自分で払うことと比べてみてください。面貸しで働くなら、席料と同じくらい当たり前の経費だと思っています。

—— Reina

サロンの保険は面貸しネイリストをカバーしない

サロンオーナーの多くは店舗向けの保険に入っていますが、その保険は通常、サロンの従業員または事業主本人の施術を対象にしています。 面貸しで席を借りているネイリストは従業員ではないため、その人の施術で起きたトラブルはサロンの保険の対象外になるのが一般的です。

つまり、「サロンが保険に入っているから大丈夫」は、面貸しでは成り立ちません。サロン側にとっても、借り手が無保険で施術をしている状態はリスクです。サロンが保険加入を貸し出しの条件にするのは、この理由からです。

逆に言えば、保険加入の証明(保険証券の写しなど)を見せられると、サロンからの信頼は一段上がります。見学や契約のときに、先に提示するのも一つの方法です。

同意書に書いておく責任の区分

保険と並ぶもう一つの備えが、サロンとの同意書(席利用同意書)です。口約束では、トラブルが起きた瞬間に「そんな話は聞いていない」になります。 次の項目は、必ず文字にしておいてください。

  • 施術に起因するお客様への損害は、借り手(ネイリスト)が責任を負うこと
  • 備品・設備の破損は、故意・過失によるものは借り手、老朽化や自然故障は貸し手(サロン)の負担とすること
  • 借り手は賠償責任保険に加入すること(加入の確認方法も)
  • お客様からのクレームが発生したときの連絡と報告の流れ
  • 施術トラブルの対応中に席が使えなくなった場合の席料の扱い

同意書の必須項目と無料テンプレートは、ネイル面貸しの契約書(席利用同意書)とは?で配布しています。サロン側の視点からの不安と対策は、空席を面貸しに出すのは不安?で整理しています。

トラブルが起きたときの初動

備えていても、起きるときは起きます。そのときに動き方を知っているかどうかで、結果は大きく変わります。

  1. お客様への対応を最優先する。 体調不良やケガの場合は、無理に続けず施術を中断し、必要なら医療機関の受診をすすめます。謝罪と状況の確認をし、連絡先を交換します。
  2. その日のうちにサロンへ報告する。 隠したり後回しにしたりすると、関係が壊れます。何が起きて、どう対応したかを、事実のまま伝えます。
  3. 保険会社に連絡する。 治療費や損害賠償が発生しそうな場合、自己判断で示談や支払いをする前に保険会社へ連絡します。先に自分で払ってしまうと補償を受けられないことがあります。
  4. 記録を残す。 日時、施術内容、使用した材料、お客様の訴え、対応の経過を書き留めておきます。写真があれば残します。

この4つの順番を、トラブルが起きる前に頭に入れておいてください。

よくある質問

面貸しでネイリストは保険に入る必要がありますか?

加入をおすすめします。施術に起因してお客様とトラブルになった場合に備え、賠償責任保険に入っておくと、ネイリスト自身もサロンも安心です。SHARENAILの雛形でも、保険加入を利用の条件にしています。

借り手が備品を壊した場合、誰が負担しますか?

一般的には、故意・過失による破損は借り手の負担、建物設備の老朽や自然故障はサロン側の負担と整理します。あわせて、施術に起因するお客様とのトラブルに備えて、借り手に賠償責任保険への加入を条件とすることをおすすめします。

ネイリストの賠償責任保険の保険料はどれくらいですか?

商品と補償額によって異なりますが、ネイリスト個人向けでは年間数千円から1万円台が一つの目安です。業界団体を通じた団体保険と、保険会社で個人加入するプランがあります。ネイル施術が補償対象に含まれているか、補償限度額はいくらかを契約前に確認してください。

サロンの保険で面貸しネイリストの施術も補償されますか?

通常は補償されません。サロンの店舗保険は従業員または事業主本人の施術を対象にしているのが一般的で、面貸しで席を借りているネイリストは対象外になります。面貸しで働くネイリストは、自分で賠償責任保険に加入する必要があります。


SHARENAIL(シェアネイル)は、席を借りたいネイリストと、席を貸したいネイルサロンをつなぐ全国対応の面貸しマッチングサービス。ネイリストの利用はずっと無料。サロンの掲載も無料です。